産婦人科豆知識 / Knowledge
産婦人科豆知識 Knowledge
皆様の不安が少しでも解消できるよう、妊娠・出産に関する豆知識をお伝えいたします。こちらに記載のない事についても、わからないことや疑問点などございましたら、当院のスタッフまでお気軽にお声がけください。
目指す産婦人科病院が決まったら
目指す「いい産婦人科病院」が決まったら、まずは健診も兼ねてその産婦人科病院を訪れてみましょう。病院の施設や雰囲気はもちろん、その病院の方針などを自分の目で確認することが大切です。 大きな病院や混んでいる産婦人科病院は、医師にその病院の方針や考え方を詳しく聞く時間はなかなか取りにくいので、短い診察時間の中で、要領よく質問するために、あらかじめ聞きたいことのポイントをしぼって用意しておいたほうがよいでしょう。 立会い出産や無痛分娩などの選択は可能か? 母子同室が可能か? 定期健診のスケジュールなどなど、自分の希望を伝える前に、まずは病院の方針を確認しましょう。 また、その際の医師の様子も大事なポイントです。いくら診察時間が短いとはいえ、こうした質問に快く答えてくれない医師は、信頼関係は持ちにくいかもしれません。さらに内診が乱暴な医師も考えもの。診療時間が短く、詳しく聞けない場合は、診療のあとで助産師や看護師など、他のスタッフに聞いてみるのもよいでしょう。 産婦人科病院を決める際の一番のポイントは、やはり医療者との信頼関係です。 「○○病院」で選ぶのではなく、できれば「○○病院の●●医師」というように、個人を頼って産婦人科病院を選びたいものです。信頼できる医師や助産師が見つかれば、出産のとき何か起こっても、その人の判断なら任せることが出来るという安心感も得られます。
超音波検査
健診の時に、超音波検査(エコー)を行う産婦人科病院が大多数です。超音波は、ものに当たると反射(エコー)する性質をもっています。また、固さによって反射する度合いが変化します。その結果として体内の骨や筋肉、羊水、尿などで映像として映る濃度が異なります。超音波検査ではこの性質を利用し、妊婦のおなかの中の赤ちゃんの発育状態などを確かめることができるのです。 この検査によって、妊娠初期には妊娠の有無、妊娠週数の確認、複胎(双子以上かどうか)の可能性、胎児の心拍の確認などができます。妊娠中期には、胎児の発育状況、胎盤の位置、胎児の異常や奇形の有無などがわかります。妊娠後期になると胎児の発育状況、胎盤の位置、胎児の異常や奇形の有無、胎児の姿勢の確認、推定体重などがわかります。 超音波検査を受けると、多くの産婦人科病院では検査画像をプリントしたエコー写真がもらえます。エコー写真にはモノクロ画像を始め、カラー画像、3D画像とさまざまな種類があります。おなかの赤ちゃんの成長を実感できるのでうれしいものです。特に3D画像は、お腹の中の赤ちゃんの立体的な写真を見ることが出来るので、大変喜ばれています。 さらに最近では、4D超音波を導入している産婦人科病院もあります。4D超音波とは、3D超音波の立体画像に、時間が加わるというもの。簡単に言えば、お腹の赤ちゃんの立体画像がリアルタイムで動画として見られるというものです。全国的にみても、4D超音波を導入している産婦人科病院は多くはありません。当院では、東京都の産婦人科の中でもいち早く4D超音波を導入し、リアルタイムで赤ちゃんの動き(まばたきや笑い顔)を動画でご覧頂いております。
妊娠中毒症
妊娠中毒症とは、妊娠中期から後期にかけておこる病気で、主な症状として「高血圧」や「むくみ」がおこります。現在では、妊娠中毒症は『妊娠高血圧症候群(HDP)』と名前が変わり、「妊娠20週以降から出産後12週まで高血圧、または高血圧にたんぱく尿をともなう場合」と定義づけられています。妊娠中毒症はお母さんだけでなく、赤ちゃんの発育にも影響がある怖い病気です。 妊娠中毒症の原因はまだはっきりしていませんが、妊婦さんの10人に1人がかかるともいわれ、とても身近な病気なのです。妊娠中毒症の主な症状は、3つあります。「むくみ」「高血圧」「たんぱく尿」です。 「むくみ」とは細胞の中の水分が多くなってしまった状態のことで、足や顔がはれぼったくむくんでしまいます。妊娠中は血液の流れが悪くなるので、ある程度のむくみの症状は出てきますが、体重が1週間に0.5kg以上増えた場合や、朝からずっとむくんでいる場合は妊娠中毒症の疑いがあります。 健康な妊婦さんの血圧は、最高が100~130mmHg、最低が60~80mmHgです。 それが最高140mmHg以上、最低90mmHg以上になると「高血圧」とされます。多くの場合、自覚症状はありませんが、ひどい時は頭痛、耳鳴り、めまい、ほてりなどの自覚症状がでてきます。 腎臓の機能が低下すると、血液の中へ身体に必要なたんぱく質が流れ出てしまいます。 いわゆる「たんぱく尿」です。「たんぱく尿」は、産婦人科の定期健診で行なわれる尿検査でわかるのですが、検査で++になったり、+が2回以上出ると妊娠中毒症に結びつく可能性があります。 産婦人科病院の定期健診では、これらの検査を毎回行っています。 日頃から妊娠中毒症の予防を心がけるとともに、少しでもおかしいと感じたら、産婦人科の医師に相談をして、診察をしてもらいましょう。
もしかして妊娠?
まずは、本当に妊娠しているかどうかはっきりさせたいですね。生理が予定日より遅れているなど妊娠の疑いがあるのなら、産婦人科病院で検査をすればわかります。でも、妊娠しているかどうかわからないのに、いきなり産婦人科病院にいくのは抵抗があるという人も少なくないでしょう。 薬局で買える 妊娠判定薬で、うまくいけば、妊娠の判定は排卵後14日から次の生理が来るはずの頃には判定することができます。この検査は、尿中のヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)というホルモンが出ているかどうかを調べ妊娠の有無を判定するものです。ただ、この時期は妊娠を判定するには確実ではありませんし、排卵はおくれることがあります。 確実に妊娠を判定するには、生理予定日の1週間後からがよいでしょう。 生理周期が不安定な人はもちろんですが、正確な人でもその月に限って生理が遅れるということもあり得ます。ですので、生理予定日から1週間以上経ってから検査するのが一般的です。検査してみた結果が陰性だった場合、1週間くらいしてもまだ生理が来なかったら、もう1度判定してみます。 判定の結果が陽性と出たときは、妊娠している可能性がかなり高いので、きちんとした検査・判定をしてもらうためにも産婦人科病院へ行って診察をうけましょう。
妊娠初期の症状
妊娠してすぐは、お母さん自身はまだ妊娠に気づいていないことが多いのですが、身体の中ではホルモンバランスが大きく変化しています。その変化によって、いつもと違うさまざまな症状がお母さんの身体に出てきます。それが、「 妊娠初期症状」と呼ばれるものです。 妊娠0週~15週までの時期を、いわゆる「 妊娠初期」といいます。実際は妊娠0週とは最終月経の1日目から計算するので、この段階では妊娠しているわけでありません。 実際に妊娠状態に入るのは妊娠3週からとなります。 お母さん自身が、妊娠初期の症状としての自覚が出てくるのは、妊娠4週(2ヶ月目)以降ということになります。この時期の症状は、「妊娠超初期症状」または「妊娠兆候」とも呼ばれていますが、「妊娠初期症状」は、妊娠超初期症状(妊娠兆候)よりも長い期間の妊娠の症状を指しています。 妊娠4週~7週になると、妊娠検査薬で陽性の反応がでます。産婦人科病院へ行って、きちんと診察をしてもらいましょう。産婦人科病院で診察してもらうと、超音波検査などで赤ちゃんの大きさは2.5cmくらいになっているのがわかります。 妊娠8週~11週になると、つわりなどの妊娠初期症状もはっきり出はじめるので、本人も自覚ができるでしょう。妊娠12週~15週になると、つわりの症状もだんだん治まり、食欲も出てきます。赤ちゃんの大きさは約16cm、体重は100~120gにまで成長していますので、おなかも少しずつふくらんできて、これまで着ていた服が入らなくなることもあります。この時期は、何も問題がなければ産婦人科病院での健診は、4週に1度くらいでしょう。
不妊症とは
不妊症とは、赤ちゃんが欲しいと思い、夫婦生活を行っているにもかかわらず、1年以上赤ちゃんができない状態の事を言います。一般的には、1年以内に赤ちゃんができる確率が80%、2年以内に赤ちゃんができる確率が90%といわれていますので、残り10%の夫婦が不妊症と言うことになります。10%といえば、100組のカップルがいたら、10組は不妊症で悩んでいることになります。不妊症とは他人事ではなく、身近な問題として考えなければなりません。 1人目を産んだ後、2人目が欲しくても、なかなか子供ができないので、産婦人科病院で調べてもらったら、不妊症だったというパターンもあります。この場合を「2人目不妊」や「続発性不妊」と呼びます。 現在、不妊症の原因ははっきりとはわかっていませんし、不妊症の原因はひとつの場合もありますが、複数の場合もあります。また、2年以内に妊娠しないからといって、すべてが不妊症であるとは考えられません。 「妊娠」の仕組みが大変複雑なため、不妊症にもいろいろな原因が考えられるのです。ですので不妊症の治療は、根本的な原因を取り除く治療ができないのが特徴でもあるのです。しかし、「現状を把握」するためにも、産婦人科での検査をする必要があります。 不妊症の原因は、女性側の原因は約5割で、男性側が約3割、その他の原因不明が約2割ということです。ですので、不妊症の検査もご夫婦2人とも受けなければ、その後の治療も正しく受けることができません。 不妊症の検査、治療は、女性の場合は産婦人科病院で、男性の場合は泌尿器科専門医の診察が必要です。
不妊治療のおおまかな流れ
不妊治療には、自然妊娠を助けるタイミング指導から、高度な医療を必要とする体外受精や顕微受精までのステップがあります。 第一段階 「タイミング指導」 基礎体温での排卵日の特定はもちろん、超音波で卵巣の中の卵胞の発育を観察したり、尿に出る排卵の命令のホルモンを測定して、排卵日を特定するのがタイミング指導です。10~12日目から卵胞を観察し、排卵日を予測して性交が指示されます。 第2段階 「配偶者間人工授精」 子宮内に精子が到達しにくい場合、子宮内へ人工的に精子を入れるのが人工授精です。タイミング指導と同様に排卵日を予測したら、精液を採取して特殊な注射器で、子宮口から精子を子宮の内部にいれます。 第3段階 「体外受精」 まず排卵誘発剤を使って、複数の卵子を成熟させて採取します。採取した卵子と精子を培養器内で混合して受精を待ちます。受精卵が分裂を繰り返して、4細胞前後の状態になったところで、子宮内に移植します。 第4段階 「顕微受精」 基本的に、体外受精と似たようなステップで進めていきます。違っている点は、体外受精は培養器内で受精するのに対し、顕微受精は顕微鏡下で卵子の中に精子を送り込みます。不妊の治療は、タイミング指導、人工授精、体外受精とステップアップしていくのが一般的です。1つの治療法を、月経周期で5~6周期、およそ半年続けても効果がなければ、次のステップを考えるケースが多いようです。治療の選択肢を提示するのは病院側ですが、それを選択するのはもちろん親となるご夫婦ふたりです。 ご夫婦でよく話し合い、納得してから取り組むことを常に忘れないことが大切です。
生理痛
生理痛は、10代~20代は強い痛みを感じていたのが、30歳を過ぎると痛みが軽くなったり、感じなくなってくる人も多くいらっしゃいます。 ただ一方で、生理痛が重く、寝込んで仕事や勉強に差し支えたり、腹痛や吐き気、嘔吐、頭痛などの症状がともなう方は「月経困難症」である可能性があります。このような症状が続くときは、産婦人科病院で診察を受けましょう。 月経困難症の原因には、生理的な機能が原因のものと、病気が原因のものがあります。 生理的機能が原因のものとして、生理時に子宮収縮が人より強い場合や冷え性、ストレスなどの心理的要因や自律神経失調症によって強い生理痛が起こります。 病気が原因のものとしては、子宮内膜症や子宮筋腫などの病気や子宮後屈や前屈、子宮頸管が非常に狭いことが原因のこともあります。子宮内膜症や子宮筋腫が原因であった場合は、そのままにしておくと、大変な病気につながってしまう可能性も大きいですし、不妊症の原因にもなります。以前に比べて痛みが激しくなったり、重くなった場合は「生理痛だから」と軽く考えないで、産婦人科病院で診察をしてもらった方がよいでしょう。
生理不順(月経不順)
生理不順(月経不順)とは、月経の周期が乱れたり、出血量や出血のある日数などにムラが発生する症状のことを言います。 正常な場合、生理は1回に4~7日間位あり周期は25~35日位です。常に一定の人もいれば、多少ずれる人もいますが、上記の範囲内であれば大丈夫です。 生理不順の多くは、ストレスによる自律神経の乱れや体調不良などでホルモンの分泌に影響が出るために周期が乱れます。基礎体温を測ればある程度の原因が分かりますが、病気が原因で起こる生理不順もありますので、安易に考えずに注意が必要です。 また、生理の周期があまりに短く頻繁にあるものを「頻発月経」といいます。頻発月経はホルモンの分泌や血液の循環が悪く、放っておくと不妊症になりかねません。 その他、周期がとても長い場合や、回数が年に9回以下と少ない場合を「稀発月経」といいます。年に3~4回しかないという場合は、卵巣や下垂体の機能不全の可能性もありますので、産婦人科病院を受診してください。 これら生理不順を放置しておくと、無月経や不妊症になる可能性もあります。また、周期に問題がなくても、1回の生理の血量があまりに多い、8日以上続く、レバーのような血の塊が出る、などの場合は要注意です。原因として子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋腫などの可能性がありますので、早めに産婦人科で診察を受けましょう。