産婦人科豆知識 / Knowledge
産婦人科豆知識 Knowledge
皆様の不安が少しでも解消できるよう、妊娠・出産に関する豆知識をお伝えいたします。こちらに記載のない事についても、わからないことや疑問点などございましたら、当院のスタッフまでお気軽にお声がけください。
出産について
出産方法
今は、出産も多様化して、自分らしい出産が選べる時代となっています。出産とは、新しい命を生み出す神聖な儀式です。そして、それはお母さんが一人で頑張るのではなく、生まれてくる赤ちゃんとお母さんとの初めての共同作業です。そんなすばらしい瞬間をどんな風に迎えたいのか、それを選択することは自分らしく生きることにもつながります。 さて、その出産には本当にさまざまな種類があります。一番一般的な出産方法としては、出産の進行と流れに従っての経膣分娩である「普通分娩」です。現在では、分娩施設や専門のスタッフの整った産婦人科病院で出産するのが普通となっています。母子ともに健康で特に医学的な処置を必要ない場合は、助産院や自宅でも普通分娩は可能です。 産婦人科病院の医師と相談して、あらかじめ決めた日に出産をする方法もあります。「計画分娩 」や「誘発分娩」とも呼ばれ、お母さんや赤ちゃんに出産後なんらかのリスクが予想される場合は、万全の体制で出産やその後の治療を行うことができるので安心です。 出産時の痛みを極力少なくして出産する「無痛分娩 」、出産についての正しい知識を得ることで不安をなくし、イメージトレーニングや呼吸法、適切な補助動作によってより自然に痛みを軽くする「緩和分娩」などもあります。 他にも、吸引・鉗子分娩・帝王切開・座位分娩・ラマーズ法・水中出産・ソフロロジー式分娩・気功式出産(リーブ法)・歌うお産 ・イメジェリー など、たくさんの出産方法の中から自分らしい出産方法を選ぶことが出来るのです。
立ち会い
欧米では、出産にパートナーが立ち会うのは当たり前のこととされていますが、まだまだ日本では男女ともにためらいがあるようです。立ち会いをするかしないかは2人が決めることですが、実際に経験した人に聞くと「ふたりで赤ちゃんを迎えられてよかった」という声の方が多いようです。 出産する産婦人科病院の理解や職場の理解も少し進んできて、立ち会い出産の定着度は増しています。万が一途中で心配なことが起きても、パートナーとふたりで医師の話を聞き、一緒に考えてもらえるのも安心ですね。 いてもらってよかったという人の理由はなんといっても「感動が分かち合えたから」のようです。 さらに「そこにいてくれるだけで安心だった」など、パートナーの頼もしさに改めて感動したという人も少なくありません。 立ち会いというと、「パートナーが分娩室で倒れてしまうのでは」という心配をする人も多いと思います。本当に分娩室でフラ~ッと倒れてしまう男性はいるでしょうか?実はごく稀なことですが、多くの助産師さんがそうした経験を1回くらいはもっているようです。本当は男性はデリケートなんだということを、女性は知っておいてあげましょう。 そもそも出産はリラックスできることが大事ですが、そこに参加するパートナーもリラックスできなければなりません。そのためにはまず、立ち会い出産が多い産婦人科病院を選択することが大事です。そういう産婦人科病院では、医師やスタッフが男性のデリケートな気持ちをよく知っていて、上手にリードしてくれます。他の男性もうろうろしていたりするので緊張がほぐれるでしょう。 当院では、原則として希望者のみなさんに立ち会いを受けられるように配慮しております。 お気軽にご相談ください。
無痛分娩
出産のときに痛みはつきものではありますが、一方で「無痛分娩」という方法を選択することもできます。 無痛分娩とは、麻酔を使って出産時の痛みを極力取り除いて出産する方法です。日本では未だに「出産の痛みを経験しないといけない」という考えが主流になっているため、無痛分娩はそれほど一般的ではありません。そのため、出産するお母さんの中にも「自然分娩が一番!」と考えている人も多いかもしれません。 ですが、あまりにも痛すぎる出産は、母体だけでなく産まれてくる赤ちゃんを危険にさらしていることを知っておいてください。お母さんがあまりに痛みで苦しんでいると、過呼吸の可能性もあります。そうなると産まれてくる赤ちゃんも酸素不足になってしまい、仮死状態になってしまうこともあるのです。 無痛分娩と聞くと、出産時の痛みだけでなく、産むという感覚もないようなイメージを持っている人がいます。ですが無痛分娩は、痛みはほとんどありませんが、感覚はしっかり残っているので、「産んでいる」ことが実感できます。無痛分娩は、麻酔科医と産婦人科医の両方が必要ですし、医師の技術も重要になってきます。そのため、まだまだ東京都内でも無痛分娩を行なえる病院が少ないのが現状です。当院では、ご希望があれば「無痛分娩」もお選びいただけます。
妊娠・出産の手続き
妊娠がわかったら、早速「お母さん」となる準備がはじまります。妊娠から出産までの過程で、いくつかの手続きが必要にもなります。手続きというとなんだか面倒くさそうですが、これまで受けていなかった行政サービスが受けられるようになるのですから、メリットと考えて早めにすませてしまいましょう。 まず、妊娠が確定したら産婦人科病院から「妊娠届出書」が渡されます。妊娠の週数・予定日のほか、診断した医師の氏名、病院、所在地が書いてあり、これにあなたの氏名・住所等を記入して、市区町村の役所や保健所へ行きましょう。産婦人科病院で用意されていない場合は、役所や保健所でもらえます。 役所や保健所に「妊娠届出書」を提出すれば、その場で交付されるのが「母子健康手帳」です。これをもらうと、お母さんになる実感がわいてくるのではないでしょうか。母子手帳は、妊娠中から子どもが6歳になるまで、お母さんと子どもの健康状態を記録する大切なものです。子ども1人に対して1冊交付されますので、双子の場合は2冊になります。これと同時に、妊娠中の健康診査受診票や母親・両親学級の案内ももらえます。 いよいよ、待ちに待った赤ちゃんが産まれると、必ずしなければならない手続きが3つあります。 市区町村の役所へ提出する「出生届け」は、生後2週間以内に手続きをします。 病院で記入してもらう出生証明証、母子手帳、印鑑が必要です。もちろんこのときまでに赤ちゃんの名前も決めておきましょう。 保健所へ「出生通知票」を提出します。こちらは、名前が決まっていなくてもよいので、早めに提出しましょう。保健師さんの訪問指導が受けられますし、赤ちゃんの健康診査・予防接種を受けるためにも大切です。 そして、「出産育児一時金」の手続きも忘れてはなりません。これは、健康保険の種類によって、手続き先がちがいます。社会保険であれば、父親または母親の勤め先へ、国民健康保険であれば市区町村の役所へ提出をします。
出産/入院準備品
病院と助産院、総合病院と個人産院など、どこで出産するかによっても、また事前に入院して出産するか、陣痛が始まってから入院するかによっても違ってきますが、分娩から産後のケアまで、入院生活は約1週間となります。必要なものを産婦人科病院の方で用意してくれることも多いので、病院が決まったら、それも事前に確認しておきましょう。それ以外のものを次のリストの中から選んでおき、旅行バッグやママバッグにまとめて準備しておきましょう。 「予定日までまだ日があるから大丈夫」なんて思っていても、いつ、どんなことがあるかわかりません。 遅くても、妊娠8ヶ月ころには準備しておけば安心です。 入院・出産に必要なもの ネグリジェ・パジャマガウン・カーディガン産褥ショーツ産褥後の悪露用ライナー腹帯・ウエストニッパー、授乳用ブラジャー腰巻き・T字帯洗浄綿ナプキン母乳パッドタオル洗面用具スキンケア用品スリッパ・ソックスコップ・箸など小銭 下記は退院の時に必要になるもののリストです。これらは入院中に家族に持ってきてもらってもよいでしょう。 退院時に必要なもの 退院時の洋服入院費用赤ちゃんの肌着オムツ赤ちゃんのドレスアフガン・おくるみ 当院では、お母様が入院に必要なお品をご用意しております。詳しくはこちら
出産ってなんだろう?
妊娠、出産というと、だれもが「病気ではなく自然なこと」と思っているのに、出産はやはり産婦人科病院などの医療施設で、というのが当たり前のように言われています。自然な行為であっても、一生のうちで、そう何度も経験することではない「出産」は、初めてのお母さんだけでなく、出産を経験したお母さんでさえ、「何が起こるかわからない」と不安を持つ人も少なくありません。そんな「出産」ってなんだろう? と、少し考えてみましょう。 いまから30年ほど前までは、日本でも約半数の人が自宅で出産をしていました。それが今では、自宅で産まれる赤ちゃんは全体の0.1%にも満たない数となっています。 出産にもっとも大切な点は、「安全性」であることは言うまでもないことですね。以前のような自宅出産では助からなかったケースも、出産が産婦人科病院などの医療施設で行われるようになってからは、無事に生まれるようになりました。ただ場合によっては、医療がいき過ぎた管理になることがあったり、医療に頼ることで、産む側であるお母さんや家族が、出産を「医療任せ」にしてしまって、自分が主体となって産むという意識を忘れてしまっていることもあります。産むのは自分、そして育てるのも自分たちであるということをもう一度、認識する必要があります。出産の主役は「産婦人科病院」や「医師たち」ではなく、「お母さんと赤ちゃん」なのです。